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COLUMN 10

薬物依存症者の居場所・八王子ダルクの取組

特定非営利活動法人八王子ダルク 代表 加藤 隆

DARC(ダルク)は薬物依存症の民間リハビリ施設であり、薬物依存症当事者によって、1985年に開設されました。
 現在、全国に約90のダルクがあり、運営方針やプログラム内容はそれぞれの施設が独自に取り決めていますが、基本的には毎日グループミーティングを行って思いを分かち合い、生活リズムを整えながら、依存症からの回復に向かう人達の居場所になっています。
 八王子ダルクは東京ダルクや地域の支援者の協力を得て、2011年に開設され、入所型施設(ダルクホーム)と日中活動型施設(オネスティ)を運営しています。
 入所型施設では、市内の住宅地に一軒家を借りて寮生活を送っています。依存症の回復は、規則正しい生活を身に付けることから始まり、炊事洗濯等、身の回りのことを自分でできるようになることが第一歩となります。寮で起こる問題はその都度全員で話し合って、自分達には「何ができるのか」「どんなルールや役割が必要なのか」など意見を出し合って主体的に解決していきます。話し合いのプロセスで責任感や仲間意識が芽生え、健康的な人間関係を保つことが可能になります。
 日中活動型施設では、さまざまなプログラムを実施していますが、柱となるのが「ダルクミーティング」と呼ばれるグループミーティングです。このプログラムは、他者の話に耳を傾けること、正直に自分の話をすることを大切にしています。
 八王子ダルクでは、職員も利用者も同じ薬物依存症当事者として、「今日一日」をスローガンに薬物を使用しない新しい生き方を実践しています。仲間の手助けは、断薬期間が長いメンバーや責任あるダルク職員だけが担う役割ではなく、「みんな、あなたの味方だよ」「俺も同じだから大丈夫だよ」そんな一体感が空気として感じられる居場所がダルクです。