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COLUMN 11

「生きているだけで丸儲け 生まれて来れて万々歳!」

一般社団法人楠の木会 NPO法人しあわせ 代表理事 川嵜 竜希

 僕は現在48歳です。15歳のときに殺傷事件で少年院に入り、16歳で極道の世界に飛び込みました。17歳のときに再び少年院に入り、出院後、21歳の頃に覚せい剤をはじめとした薬物にも手を染めてしまいました。薬物に依る幻覚・幻聴・妄想から自殺を図り、精神科病院に入院もしました。そして命を繋ぎ止め、なんとか辿り着いた沖縄ダルクで、回復の道に乗ることができたのです。
 こうした自身の経験から、35歳の頃より全国の少年院や学校、児童養護施設、企業、各都道府県警の方々からお声掛けを頂き、『薬物、暴力、少年少女の非行問題、家族愛、家族間コミュニケーションの在り方』をテーマにお話しさせて頂いています。
 こうして話し続けていることが、僕が間違った方向に道を踏み外さない力(ブレーキ)となっているので、とても有難く感謝しています。直近の講和は令和2年11月17日に多摩少年院で行われた講演会です。
 僕はかつて少年院で教育を受けた先輩として、後輩たちに熱いメッセージを届け続けてい(生)きたいと思っています!
 その後輩たちに一番伝えたいことは、”今の自分があるのは、二度の少年院生活のお陰””少年院での生活が自分の人生のど真中にある”ということです。【ど真中】、人間の体で言うなら”背骨”だと思ったのです。背骨を英語で『バックボーン』と言うことをあとで知りました。僕は後輩たちに大きな声で、「自分のバックボーンは、二度の少年院での生活だよ」と伝えています。「確かに凄いプラスに変えられるんだぜ?」「こんな俺ができたのだから、みんなにも絶対できる!!!」「先にこのことを知っていたら凄~く得だぞ!」とも話しているのです。
 だって・・・あんなに酷かった自分が、今は最愛の家族がいてこんなに幸せに暮らしているのだから。これは今少年院に居る後輩諸君を凄~ ~く勇気付けられることなんじゃないか!??と思うのです!命があればやり直しはいくらでもできる。絶対投げちゃダメ!!自分のことを凄~く凄~く大事にして生きて欲しい。

令和2年11月17日、多摩少年院にて講演
「生きているだけで丸儲け生まれて来れて万々歳!」

 今最愛の子供たちが居ることで、本当に心から、心の底から思うのです。死なないで良かった、命をなくさないで本当~~に良かったと。だって自分が死んでいたら、最愛のこの子たちは、この世に誕生してないのだから。
自分を、家族や仲間を、全ての人・ことを大切にすることが、絶対に幸せに繋がっていくと思っています。僕はこれからも、後輩たちが間違った道じゃなく、明るくて幸せな道を進んで行けるよう、後輩たちに伝え続けていきたいと思います。
 支援者の皆さんが立ち直りの支援をされる際にも、「自分がこの世に生まれてきたことがどれだけ素晴らしいことか考えてほしい」「自分に命をつないでくれた人たちに感謝してほしい」ということを、ぜひ伝えていただければと思います。