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COLUMN 4

様々な依存症への対応に果たす回復施設の役割

特定非営利活動法人ジャパンマック 施設長 森 啓介

 依存症は、薬物依存症のほか、アルコールやギャンブル、性的な問題行動、ゲーム、窃盗などにも認められます。共通しているのは、生活が壊れてしまうからもうやめようと思っているのに、どうしても繰り返してしまうということです。特に、刑事事件につながってしまうと、失うものも計り知れません。そうなると、再犯のおそれから、アルコールやギャンブルなどを他の人のように適度に楽しめない状態が将来にわたり続くということになります。そうです。きっぱりとやめる必要があるのです。 


 生活の中で最も大切な部分を占めてしまっていた依存の対象を手放すことは、ご本人にとっては身を切るほどに苦しいことです。そのため、依存から抜け出すには、ご本人が一人で行う方法や意志の力に頼るのではなく、多くの人が成功している回復施設の利用をお勧めします。回復施設は、本文で紹介されているようにダルクさんや私たちのジャパンマックなどが、都内にも全国にもあります。共通しているのは、次のことです。
➀ 同じ依存症から回復しようとする仲間の中で、自分が理解され、励まされる実感を得ることができる(スタッフの多くが何らかの依存症から回復している当事者です。)。
➁ 一人ではなく、仲間と一緒に無理なくやめていくことができる。
➂ 依存しなくてはならなかった自分を振り返り、それを乗り越えて生き生きとした生き方ができるようになる。
➃ 多くの場合、「A A(アルコホーリクス・アノニマス)の12ステッププログラム」を中心に置いている(依存をやめるだけでなく、人としてのよりよい成長を促すプログラムです。)。
➄ 営利目的ではなく、無理のない費用負担でサービスが受けられる。


 近年では、私たちの法人が運営する事業所のように、障害福祉サービス事業として依存症からの回復支援を行う施設も多くなってきました。それらの施設は、国が定めた職員配置、個室などの生活環境基準、サービス基準などをクリアし、医療機関や行政との連携を前提とした利用しやすいサービス提供となっています。

男性施設みのわマックでのミーティング風景

 回復施設は決して閉鎖的ではありません。回復の度合いに応じて就職もし、一般の社会生活に戻ります。こうした方がよいと助言はしますが、どの時点でも次の行動を決めるのは、ご本人自身です。どのような活動を行っているかを施設のウェブサイトで確認いただき、お気軽に問い合せのお電話をいただければと思います。