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COLUMN 7

刑事司法領域における福祉的支援のひろがり
福祉専門職の再犯防止に向けての活動

公益社団法人東京社会福祉士会司法福祉委員会 委員長
一般社団法人社会支援ネット・早稲田すぱいく 代表理事 小林良子

 司法領域における福祉的支援の必要性が注目されるようになったきっかけは、平成15年に出版された山本譲司さんの「獄窓記」でした。この「獄窓記」によって、矯正施設(刑務所等)には、高齢や障害などで福祉的支援の必要な人々がたくさんいることが分かりました。その後、矯正施設や更生保護施設などに社会福祉士等が配置され、さらに矯正施設出所時に福祉に繋ぐ支援を行う地域生活定着支援センター(地域生活定着促進事業)ができるなど、司法領域で福祉的支援が行われるようになりました。

 当初は矯正施設からの出所時支援が中心でしたが、平成25年からは、弁護士会と社会福祉士会・精神保健福祉士協会が連携し、裁判前に、福祉につなぐ計画(更生支援計画)を立てる、刑事司法ソーシャルワーク活動が開始されました。刑事司法ソーシャルワーカーは、弁護士会から依頼を受けて、福祉的支援が必要と思われる被疑者・被告人の支援を行います。警察や拘置所でご本人と接見し、なぜ罪を犯したのか、アクリル板越しにアセスメントを行い、関係者にも話を聞き、ご本人の生きづらさを理解、どうしたら再犯をしない生活を送ることができるようになるか、ご本人と相談しながら「更生支援計画書」を作成します。
 こうした被疑者段階での支援が必要と認められるようになり、令和3年からは、厚生労働省の地域生活定着促進事業でも、「被疑者等支援業務」が始まりました。

 さまざまな理由で社会での生きづらさ感じている人はたくさんいます。仕事がなかった、住む所がなかったという理由で再犯をする人が多かったことから、就労や居住の支援が始まりましたが、なぜ仕事をしていなかったか、なぜ住むところがなかったかの問題があります。福祉的支援が必要と思われる方々は、仕事があればいいだけではありません。家族関係やその他の様々課題を抱えています。
 刑事司法ソーシャルワークでは、アセスメントとご本人の希望を元に、裁判後の生活づくりの支援を行います。国選弁護士は裁判終了と同時に任務が終了しますが、刑事司法ソーシャルワーカーは更生支援計画書に沿ってご本人の社会復帰支援を始めます。執行猶予であれば、裁判終了後に福祉事務所や病院等へ同行します。支援は一日で終わらず数日かけて行われることもあります。その後、状況を確認し、生活が落ち着くまで、ご本人を支えます。司法や福祉の関係機関との連携も大切です。実刑になり矯正施設に行く場合は、手紙のやりとりを行い、数年後の出所時に支援開始となることもあります。

 社会福祉士は福祉のいろいろな現場にいます。社会福祉協議会、地域包括支援センター、障害者相談支援センター、福祉事務所等々福祉の現場等です。昨今は、刑事司法について勉強をしている社会福祉士も増えてきています。さらに、東京社会福祉士会では「立ち直りを支える地域支援ネットワーク作り」事業を、都内各地区で少しずつ始めました。生きづらさが犯罪につながることにならないように、地域でのさまざまな取組みを考えています。
 東京社会福祉士会の取組みに関しては03-5944-8466にお問合せください。